OpenStackディストリビューション「RDO」を用いて、実際に動作するOpenStack環境を構築しながら、OpenStackの利用方法や内部構造を学ぶ特集です。今回は、仮想ネットワークの構成とメタデータの仕組みについて解説します。

OpenStackでの仮想ネットワークの構成

 OpenStackでは、仮想ネットワークもマルチテナントに対応しており、プロジェクト(テナント)ごとに独立した仮想ネットワークが用意されます。典型的には、図1のような構成となり、プロジェクトごとに専用の仮想ルーターが用意されます。

 各プロジェクトのユーザーは、任意の仮想スイッチを追加して、仮想ルーターに接続することで、外部ネットワークとの通信が可能になります。第2回に説明したように、家庭内LANをブロードバンドルーターでインターネットに接続するような構成になります。

図1●典型的な仮想ネットワークの構成
図1●典型的な仮想ネットワークの構成
[画像のクリックで拡大表示]

 第1回に構築した環境では、初期設定スクリプトによって仮想ネットワークを事前に構成しましたが、新規に作成したプロジェクトの場合は、仮想ルーターすらも存在しない状態です。ここから、次の順序で仮想ネットワークを構成していきます。

  • 仮想ルーターを作成する
  • 仮想スイッチを作成して、サブネットを割り当てる
  • 仮想スイッチを仮想ルーターに接続する

 Horizonのダッシュボードから構成するときは、「プロジェクト」メニューの「ネットワーク」→「ネットワークトポロジー」の画面から作業すると見通しがよいでしょう。初めは、外部ネットワークのみが存在しているので、「ルーターの作成」から、仮想ルーターを追加します(図2)。

図2●仮想ルーターの追加
図2●仮想ルーターの追加
[画像のクリックで拡大表示]

 続いて、「ネットワークの作成」から、仮想スイッチを追加します(図3)。このとき、仮想スイッチに割り当てるサブネットとDHCPで提供するDNSサーバーの情報を追加で設定します。

図3●仮想スイッチの追加
図3●仮想スイッチの追加
[画像のクリックで拡大表示]