OpenStackディストリビューション「RDO」を用いて、実際に動作するOpenStack環境を構築しながら、OpenStackの利用方法や内部構造を学ぶ特集です。今回は、前回構築した環境を利用して、仮想マシンインスタンスの作成に関連するパラメーターや仮想ネットワークの構成を解説します。また、簡単な練習として、Webサーバーの構築を行ってみます。

内部構造が複雑なOpenStack、利用するだけなら難しくない

 初めに、OpenStackが提供する機能の全体像を整理しておきます。本特集では、表1の主要コンポーネントを中心に取り扱います。OpenStackは、その内部構造に目を向けると、これらのコンポーネントがAPIで連携する複雑な構造になっています。

表1●OpenStackの主なコンポーネント
コンポーネント説明
Keystoneユーザー認証とサービスカタログの管理
Nova仮想マシンインスタンスの管理
Glanceテンプレートイメージの管理
Cinderブロックボリュームの管理
Neutron仮想ネットワークの管理
HorizonWebベースのGUIを提供

 しかしながら、OpenStackが提供するクラウド環境を利用するユーザーの視点では、それほど難しいものではありません。OpenStackは、IaaS(インフラストラクチャー・アズ・ア・サービス)タイプのクラウド環境、すなわち、「マルチテナントでセルフサービスの仮想インフラ」を提供するものです。

 OpenStackのユーザーは、それぞれに自分専用のテナント環境が与えられて、この中に仮想ネットワーク、仮想マシン、仮想ストレージなどを構築できます。ネットワーク、サーバー、ストレージというインフラの3大要素を自分1人だけで、自由に組み合わせてインフラを構築できるわけです(図1)。

図1●ユーザー視点でのOpenStackの機能
図1●ユーザー視点でのOpenStackの機能
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