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 右側の円と左側の細長い線──。まるでクラゲのようですね。ですがこれ、あるネット販売企業でデジタルマーケティングの効果測定、具体的には「アトリビューション分析」を実施してその結果をビジュアライズしたものなのです。このアートのタイトルは「The Marketing Jellyfish」。このアートを活用することで、この会社は、デジタルマーケティングの予算を10%削減できました。

 アトリビューション分析について説明する前に、まずはなぜこの分析が必要になったのか、その背景からご紹介しましょう。デジタルマーケティングは高度化してきており、顧客エンゲージメント(自社の商品に対して顧客が抱く前向きな思い)を高めるためのマーケティング施策は多岐にわたるようになってきました。

 こういったキャンペーン施策は様々な手段を組み合わせていきます。個人ブログなどに広告を掲載してもらい、その広告で商品購入などにつながったら広告費を支払う成功報酬型の「アフィリエイト」、検索サイトなどに画像や動画などの広告を載せる「ディスプレイ広告」など、適用する広告手法も多岐にわたります。しかもその広告を見る消費者のデバイスもスマートフォンやタブレット、パソコン(PC)など多様になっています。

 そのため、ネット販売を含む小売業では、ネット上でのキャンペーン施策に投下する予算もかさみがち。膨大な予算を最適化するため、キャンペーンのどの施策が効果的だったのか、調べることが重要になっています。また商品購入など売り上げにつながった直前のアクションだけでなく、「その前のアクションはどうだったのか」とみることも欠かせません。

 そこで注目されている分析手法がアトリビューション分析です。アトリビューションとは、消費者が商品購入に至るまでに取ったすべての行動を対象にした間接効果のこと。広告をクリックして商品購入に至った消費者が、その前にどんな“旅”をしてきたのかという「カスタマージャーニー」をみるのがアトリビューション分析だともいえます。

 具体的には、施策で講じたすべての広告手法について、アトリビューションをスコアリング。消費者が広告に行き着く前に行ったそれぞれのアクションが最終的な売り上げにどう貢献したのかを把握します。それによって、筋の良いマーケティング手法を見つけ出せます。