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 デジタルカメラ写真やスマートフォンの中の電話帳など、大切なものをデジタルで持つのが当たり前になって久しい。これらは、持ち主が亡くなればそれはそのまま遺品になる。この「デジタル遺品」をどうするか。これから3回にわたり、業界動向を含めた現在のデジタル遺品の現状について解説する。

スマホの「お焚き上げ」で情報流出を防ぐ

「MISお焚き上げステーション」の公式サイト
「MISお焚き上げステーション」の公式サイト
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 2013年10月、遺品整理士認定協会が「MISお焚き上げステーション」という、パソコンやスマホを「お焚き上げ」(お守りや仏壇などを浄火で燃やす宗教行為)するサービスを開始した。依頼者から送られた情報端末を専用炉でお焚き上げすることで、内部に保存された「個人情報の悪用を防ぎ、故人の尊厳を守る」とうたっている。

 PCの場合、HDDに穴を開けたうえで宗教家による供養やお祓(はら)いをし、専用炉に入れて800℃以上の高温で焼却。その後、データ復旧の危険性を考慮して7~10日ほど保管期間をおいた上で処理する。ノートPCなら1台2000円、スマホなら1台500円だ。

 サイトでは、携帯電話に保存していた写真から女子高生との援助交際が発覚した事例や故人が使っていたスマホが海外で売られてクレジットカード情報が抜き出された事例などを挙げながら、「お焚き上げ」の必要性をアピールしている。

 確かに、情報端末内を物理的に破壊すれば、その中のデータは見られなくなる。しかし、個人情報を本気で流出から守るなら、「デジタル遺品」とされる存在全てに目を光らせる必要がある。例えば、オンライン上に残ったデータやアカウントは個別に判断して処理するしかない。有料サービスを利用しているなら、それぞれのルールに則って契約解除してなければならないだろう。