IoT(Internet of Things)関連の支出額は、2015年も引き続き世界中で急速に伸びている。IoTのソリューションとサービスの世界全体での支出額は、400億米ドルを上回っている。フロスト&サリバンでも、2016年に農業分野でのIoTの活用に大きな動きが見られると予測している。

 現状では、IoT支出の大半が自動車、物流、工業・消費者向けアプリケーションといった、既に確立された市場でのもの。しかし、現在デジタルトランスフォーメーションとしてのIoTが生み出す新たな市場として、台頭しているのが農業だ。とりわけ日本は、IoTの農業での活用において、注目すべきビジネス機会を生み出すのではないかと期待されている。

世界的に急成長が期待される農業IoT

 世界全体のIoT市場における農業関連支出額は、2015年に27億米ドルに到達した。IoT市場全体から見ると小規模ではあるものの、2017年には大きな成長が見込まれている。フロスト&サリバンは、世界全体の農業IoTの支出額は2015年から2022年にかけて、年平均成長率(CAGR)13.3%で成長し、2022年には65億米ドルに到達すると予測している()。

フロスト&サリバン
農業IoT市場の見通し
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 現状では、農業IoTの世界市場における総支出額のほぼ半分を北米と中南米が占めており、残りは欧州30.7%、アジア19.3%、アフリカ3.5%となっている。また、植付けや施肥、害虫駆除、収穫などの工程を自動化するソリューションが、農業IoTの世界市場全体の58.8%と過半数を占める。そして、トラクターなど農業機器の管理と追跡が26.5%、農場での給水などの基準を測定するソフトウエア・アナリティクスが14.7%を占めている。