2016年は、デジタルテクノロジーを活用し、新たなビジネスモデルの創出に変換していく「デジタルトランスフォーメーション」が、ビジネスや社会において注目すべき大きなテーマとなる。フロスト&サリバンでは、2016年に産業を大きく変革する5つの主要なテクノロジーを特定し、これらが2016年以降に既存のビジネス構造を大きく変化し、全く新しいビジネスモデルを生み出すと予測している。

変革する2016年の産業とビジネス

 以下が、デジタルトランスフォーメーションが変革する5つのテクノロジーである。

  • 1.バーチャルリアリティ(VR:Virtual Reality)、拡張現実(AR:Augmented Reality)
  • 2.人工知能(AI)
  • 3.ブロックチェーン
  • 4.自律運転・自律型ロボット
  • 5.Internet of Things (IoT)
  •  これらの新たなテクノロジーの波は、従来のビジネス構造を破壊し、企業が生き残るためにビジネスの変革を迫るものとなる。今回は、バーチャルリアリティと拡張現実が、今後どのように既存の産業に大きな影響をもたらすかについて解説する。

     バーチャルリアリティ(VR)と拡張現実(AR)の技術は、私たちの仕事や学習、コミュニケーション、娯楽の手段を一新する大きな可能性を秘めている。以前は、拡張現実とバーチャルリアリティは映画「マトリックス」などのSFで見られる種類の技術だったが、現在それは私たちの手中にある。拡張現実とバーチャルリアリティは様々な産業に変化を与え、2020年までに4000億米ドル相当の経済価値を生むと期待されている。

    現実世界での体験を豊かにする新たな手段

     拡張現実とバーチャルリアリティは、現実世界を増幅し、前後の背景や事情などのコンテキストやコンテンツを通じて、我々の体験を豊かにする手段である。

     拡張現実は、現実の世界にデジタル上の装飾を施すことによって、我々と現実の世界とのコミュニケーションをより豊かにするものである。実際に、我々の持つ視覚や構想などの感覚が、データによって拡張される。一方、バーチャルリアリティは、感覚的な領域を完全に満たした状態で、特定の環境をデジタル上で合成したものである。