唐突ですが、僕は岩手県の盛岡市で生まれ育ちました。岩手県は北海道に次いで二番目に広く(「県」では一番)、しかし人口130万人ほどです。人口密度は北海道に次いでビリから2番目。県庁所在地の盛岡市も人口30万人ほどの小都市です。

 そんな岩手県ですが、スマートフォン(スマホ)の位置情報ゲームを使った地域振興という点では全国の先端を行く自治体です。「Pokémon GO(ポケモンGO)で今をときめく米ナイアンティックの「Ingress(イングレス)」が日本ではやり始めた2014年9月にいち早く「岩手県庁Ingress活用研究会」を発足(関連記事:岩手県がスマホゲーム「Ingress」を観光振興などに活用 )、同年11月には世界で初めて自治体主催のIngressの街歩きイベントを開催。初の試みにも関わらず50人もの参加者を集めて成功させ、Ingressと岩手県の名を全国の自治体関係者に知らしめました(関連記事:50人強、7グループが盛岡街歩き、岩手県のIngressイベントは「大成功」)。

位置情報ゲーム活用で先行した岩手県、その裏には仕掛け人が…

 岩手県庁Ingress活用研究会はその後「岩手県庁ゲームノミクス研究会」に発展(関連記事:Ingress活用の岩手県、「ゲームノミクス研究会」を発足、ゲームによる地域活性化を推進)。ゲームを利用した地域振興の旗を振り続けてきました。ことし8月には、宮城県や熊本県、福島県と共にポケモンGOを活用した観光振興で被災地4県が協力すると発表したのも記憶に新しいところです。

写真●岩手県秘書広報室長の保和衛氏
写真●岩手県秘書広報室長の保和衛氏
保和衛(たもつ・やすえい):1960年岩手県生まれ。1983年に岩手県入庁。工業振興、財政、政策調整、企業誘致などに従事、2013年に秘書広報室副室長兼首席調査監、2016年4月から現職。知事・副知事のサポートの傍ら、2014年9月にスマホ向けゲーム「Ingress(イングレス)」を観光振興に活用する活動を開始して現在に至り、「岩手県庁ゲームノミクス研究会」の会長を務めている。写真は2014年11月に県として初めて開催したIngress街歩きイベントでの一コマ。エージェントを気取って黒めがねで登場しようとしたが、直前に壊れてしまった。そのまま気にせず挨拶して喝采を浴びた。
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 実はこの一連の活動には「仕掛け人」が居ます。岩手県秘書広報室長の保 和衛(たもつ・かずえい)さんです。上記のゲームノミクス研究会のアイコンになってる黒めがねのダンディーなオジサンです。11月2日に盛岡市内で開くカンファレンス「全国自治体ゲームコラボレーションフォーラム」の準備にお忙しいところ、無理を言ってお話を聞きました。