世永玲生です。米ナイアンティックのスマホゲーム「Pokemon GO(ポケモンGO)」。先週、ついに国内配信が始まり、早速日本でも大人気になっています(写真1)。 国内のApp Storeでは、配信から半日でトップセールスに踊り出すなどセールスも好調なようです。
昨日(関連記事:世永玲生~ポケモンGOはなぜ受けた?ゲームデザイナーの眼で見たヒットのカラクリ)はポケモンGOのヒットの背景を説明しました。本日はそれに引き続き、ゲームデザイナー兼コンサルタントの視点で、ポケモンGOがなぜこれほど巨大な売り上げを生み出しているのか、そのカラクリを探ってみます。
いつまでも無料でプレーできるが、つい課金したくなるゲーム設計
ほかのソーシャルゲーム(ソシャゲ)と同じく、ポケモンGOも無料でダウンロードでき、「無課金」でも普通にプレーができる「F2P(Free to Play)」ゲームです。しかしほかのソシャゲとかなり違うのは「あまり課金が必要ない」ように見える点です。運営側が「課金を欲しがってないように見える」と言い換えてもよいかもしれません。
これまでの連載でも説明してきたように、最近のソシャゲではプレーヤーに少しでも多く課金してもらうために様々な手段を使うのが普通です。全てではありませんが、一部のいわゆる「重課金」プレーヤーを優遇するような運営も目立ちます。「ガチャは出なければ出ないほど売上が上がる」的な運営は、近年問題にもなっています。こうしたソシャゲに慣れた目には、一見、課金を欲しがっていないように見えるポケモンGOは新鮮です。
ポケモンGOにも課金アイテムは用意されていますが、プレーし続けるだけなら課金の必要はありません。強いポケモンを手に入れる為の10連ガチャも見当たりません(図2)。また、いわゆる「廃課金」して大量に課金アイテムを手に入れても、それイコール強いポケモンが手に入るわけではありません。ただし、詳しく分析していくと、実に見事なやり方で課金が組み込まれています。この課金設計こそが、ポケモンGOの好調なセールスの原動力です。
そんなポケモンGOの課金設計で象徴的な存在が「ルアーモジュール」です。プレーヤーが任意の「ポケストップ」に装着すると、ポケモンの出現率が上がるというアイテムです。