ちゅらっぷすの成沢理恵です。スクウェアとエニックスが合併する前の旧エニックスに入社して以来、「ダーマ神殿」に立ち寄ってジョブチェンジなんかせず、プロデューサー一筋で黙々とレベル上げをしてきました。今もゲームのプロデューサーを生業にしています。この連載ではプロデューサーの観点からソシャゲの秘密を明かしたいと思っています。

 さてプロデューサーです。一言で言うのは簡単ですが、仕事の中身は幅広い。一体何をやっている人かよく分からない読者の皆さんも多いと思います。そこでまずはソシャゲにおけるプロデューサーの仕事全体をざっくり解説していきたいと思います。

 まず、開発の前段階。プロジェクトのスタートまでにプロデューサーがこなすべき仕事は大きく3つです。企画立案と開発会社選定、そしてライン交渉です。

 ゲームの企画を立てるのはプロデューサーの大きな仕事の1つですが、必ずしも1人でやるわけではありません。ゲームを実際に開発してくれる開発会社やチームのプランナーと一緒に作る場合も多々あります。良い企画が出来るとは限らないので、普通は1人のプロデューサーが同時に2~3本のゲーム企画を並行して動かすことが多いです。

 企画提案書という形でゲームの概要がまとまったら、細かい収支計画書を作ります。これを携え、社内で何度も会議を通して修正と調整を繰り返し、ようやく予算確保の許可が下りたらプロジェクトがスタートします。ここまでだいたい2~3カ月。ようやくスタートラインです。