さて、みなさん、一通りやってみてどうでしたか? ファシリテーションって、もっとバシバシ仕切るイメージがありませんでしたか?

 ファシリテーションは意外とわかりにくい技術なので、いろいろなものに例えられます。私が例えるなら、ファシリテーターはガードレール役です。車に乗ってハンドルを握るのはメンバーです。

 ガードレールはゴールに向かってラインを作っていますが、チームに時間的、状況的余裕があるときは、ガードレールの幅は広くとって、ある程度自由に車を運転することができるようにします。この自由度を与えられているときに、チームは多くのことを学ぶわけです。もし道を外れそうになっても、端の方によっていけば、ちゃんとガードレールがコースを外れないように守ってくれます。

 しかし、ひとたび状況が変わると、例えば、台風がきたり、ガス欠になりそうだったり、ゴールから大きく道を外したりしたときは、定めたゴールに向けて最短でしか走れなくなるように、ガードレールの幅がググッと狭くなり、車はハンドルを動かせなくなります。

 私が描くファシリテーターの役割はこのようなイメージです。状況に応じて、チームに与える自由度が変わるのです。

 実はファシリテーションで一番難しいのは、この自由度の与え方です。この調整ができずに、一直線にガードレールを引いて、「ほら、これがファシリテーションだぞ」という人がいますが、それは違います。大事なのは調整ができることです。