問題解決プロセスは、「問題設定」「現状把握」「原因分析」「解決策の立案」「解決策の評価」「実行計画」「実行」「振り返り」という8ステップからなります。今回はステップ2「現状把握」です。

ステップ2 現状把握

 現象を知覚すると、「この現象は何を意味するのか?」が知りたくなりますよね。不具合が多発しているけれど、「どんな不具合が出ているのか?」「どの機能で多く出ているのか?」「どのプロセスでエラーが流入しているのか?」。売り上げが下がっているけれど、「各セグメントの傾向はどうなっているのか?」「商品別の傾向はどうなのか?」「既存顧客、新規顧客どちらが落ちているのか?」といったことです。それが問題解決プロセスのステップ2「現状把握」です。

 この「現状把握」をしないでいきなり対策に進んでしまう人がたくさんいますが、現状把握をやらないまま対策を打つということは、「思い込み」で行動するということですから、間違った対策を打ってしまい、効果がないばかりか、逆効果になる可能性すらあります。

 現状把握のステップは、言い換えれば「事実の収集」のステップです。「現象を説明する事実」を集めるわけです。現象は表に出てきた「現れ」でしたね。その現れの奥には複数の事実があるはずです。このとき、やみくもに事実を集めようとすると時間がかかってしょうがありません。ですから、仮説を立てて、その仮説を検証するというプロセスを繰り返す中で事実を集めるのです。

 例えば、ソフトウエアに不具合があると、デバッグ(不具合改修)をしますよね。このデバッグという作業は、同じ不具合であっても調べる人によってまったくかかる時間が違います。デバッグがうまい人は、仮説―検証プロセスを回すのがうまい。いきなりプログラムコードを見たりはしません。「こういう現象が起こるということは、こういう原因が考えられる」。これは仮説です。

 仮説というのは「いまの時点で最も確からしい結論」です。仮説を立てたら次に「だとすると、ほかにもこういう現象が起こるはずだ」というふうに仮説を検証します。私はこれを「バグと仲良くする」と言っていますが、まずはバグをよく観察する、バグとたわむれるわけです。