問題解決プロセスは、「問題設定」「現状把握」「原因分析」「解決策の立案」「解決策の評価」「実行計画」「実行」「振り返り」という8ステップからなります。1ステップずつ、具体的に説明します。

ステップ1 問題設定

 最初のステップは「問題設定」です。「現象の知覚」といってもいいです。現象とは、パッと見て目につくものですね。例えば「売り上げが下がっている」とか、「不具合が多くなっている」とか、「提案が通りにくくなっている」などです。

 ここでわざわざ「現象」と書いているのは、わかりやすい、パッと目につくものは「現れ」にすぎず、本質的な問題ではないということです。本当の問題はその奥に隠れています。現れにすぎないものを「問題だ!」といってしまうと、その現れをとにかく抑え込もうという行動に走ってしまいがちです。

 不具合がたくさん出ているからレビューを強化しようとか、今期は赤字になっているから取引先に頼んで発注を早めてもらおう、ひどいときは決算が終わってから返品してもらおう(粉飾ですね)などといったことです。どれも問題そのものは別のところにあることはわかりますね。

 上司からの指示で多いのが、「売り上げアップ」「工数見積もりの精度向上」「顧客満足度の向上」なんかですね。しかし、これらは現象を裏返しただけです。「売り上げが下がっているから、売り上げを上げよう」「見積もりの精度が低いから、精度を高めよう」「顧客満足度が低いから、顧客満足度を高めよう」といっているにすぎません。スローガンでしかないわけです。スローガンには取り組めません。具体的じゃないからです。

 この段階で見ているものはあくまでも「現象」です。現象そのものに取り組んでも問題は解決しません。本質的な問題や解決すべき問題は、このあとに続くプロセスの中であぶり出していきます。