ロジカルシンキングの本を読むと、「フレームワークが大事です」と書いています。大事なので何度も何度も繰り返しフレームワークを説明しているのですが、その割にはフレームワークを使いこなしている人は少ないと思います。

 前回の「守」の話を思い返してください。フレームワークは技です。技を使いこなすには、まずパーツが大事だといいました。パーツの意味を考え、それが自分のものになっていなければ、技(フレームワーク)を使うことはできないわけです。技よりもパーツ、この場合は思考のパーツ(=思考回路)を大事にしないといけません。

 実はロジカルシンキングの本を読むと、「このときにはこの思考回路ですよ」と書いています。でも、地味なのであまりフォーカスして書いていません。地味な本は売れませんから。さらっと書いているので、みんな注意することなく読み飛ばしてしまいます。

 本を読む人の態度にも問題があるのです。みんなフレームワークが大好きです。手っ取り早くできる人になるような気がするからです。でもそうはなりません。フレームワークの部品である思考回路を身につけないと、フレームワークを使いこなせないのです。だからフレームワークを学んでも、いっこうにビジネスパーソンのスキルが上がっていないという現象が起きるわけです。

 ビジネススクールに行って、どこかのセミナーに行って、いろいろなフレームワークを知ると満足感は高まりますが、思考回路を身につけなければフレームワークを使うことができません。技を覚えても、それを使う体、運用能力がなければ、まったく意味がないのと同じです。