「モノづくり大国日本」といわれています。日本のモノづくりはすごく素晴らしいものがあります。ただ、モノづくりは優秀だけれども、勝負に勝てない。そうした状況が今、続いているわけです。モノづくりの優秀さは強みだけれども、その強みを生かすコンセプチュアルな世界でうまく立ち回れないからです。

 少し前に、メーカーの人が話しているのを聞いたのですが「韓国の工場を見せてもらったんだけど、レベルが低いね。日本の工場と比べたら話にならない。やっぱり日本はすごい」ということを言っていました。それを聞いて「こんなことを言っていたらダメだな」と思いました。

 だって、そう言っている日本のメーカーはその韓国の企業にビジネスでは負けているわけです。確かにモノづくりの日本のレベルはすごいのでしょう。でも、それを生かせていないわけです。勝負で負けているのに、「うちのモノづくりはすごい」なんて言っても、負け犬の遠吠えです。そんなことを言っているからダメなんだと思いました。

 「どうやって勝つのか」「どうやって戦略を立てるのか」「どうやって計画するのか」「どうやってプロジェクトを回していくのか」ということができない。ハードは強いけれどソフトは苦手。これが日本の特徴です。

 コンサルティングで製造業に行くこともあります。製造業の人たちの特徴は、ハード担当者優位です。ハードウエア担当の人の発言力が非常に強い。ソフトウエアは「ハードウエアの尻拭いをするもの」くらいにとらえている人が多いですね。

 なので、ソフトウエア担当の人はあまり優遇されていません。ソフトウエア担当者は「何だかわけがわからない人」という印象を持たれています。偉くなる人はハード担当出身の人ばっかり。こういうことが製造業ではよくあります。