前回、ヒューマンスキルよりもコンセプチュアルスキルの必要性が高くなっていると説明しました。

 コンセプチュアルスキルの重要性が増しているこの傾向は、「キャリアの断絶」に大きく影響しています。キャリアの断絶とは、一般社員、係長・課長クラス、部長クラス、事業部長クラス、経営者・社長クラスといったステージ間のギャップのことです。このステージはシームレスにつながっているわけではなく、ステージの間には崖があります。

 例えば一般社員から係長になるとき、係長という役職をもらったけれども、うまく適応できない人がいます。同様に、係長・課長クラスの人が部長になったが適応できない、部長クラスから事業部長・役員クラスになったが適応できない人はいます。そういった人たちは実は崖に落ちています。求められることの変化に気づかずに崖に落ちてしまっているのです。

 以前は、ステージ間のギャップが大きいのは、係長・課長と、部長の間でしたが、最近、変わってきています。最も大きなギャップは、一般社員と係長・課長クラスの間にあります。早いでしょう?でも、崖に落ちていることにも気づかないまま、役職だけ上がってしまっている人がたくさんいます。

 ギャップを生み出しているのはコンセプチュアルスキルです。コンセプチュアルスキルが、係長や課長クラスで以前より強く求められるようになったということです。企画する、計画する、戦略を立てる、このように概念を取り扱う仕事が、係長・課長クラスから求められるようになってきました。役職の定義は会社によって違うと思いますが、以前よりも早い段階でコンセプチュアルスキルが求められるようになっているというのはどこの会社でも同じでしょう。

 以下の図は、上が「かつてのギャップ」を、下は「最近のギャップ」を示しています。

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 「ピーターの法則」って聞いたことがありますか?