働くスタイルも変化しています。バックグラウンドの異なる人たちが集まって仕事をすることが多くなっています。少し前に「ノマド」という言葉がはやりました。スターバックスで仕事をすることがノマドじゃないですよ。会社に属さずに自分の強みとか技能を生かしながら、チームを組んで仕事をするスタイルのことです。確かに、そういう働き方をする人は多くなっています。

 みなさんの会社でも、会社の中だけじゃなく、ほかの会社と組んでやるようなプロジェクト型の仕事が増えているのではないでしょうか。ひょっとしたら、海外の人と一緒に仕事をすることが増えているかもしれませんね。

 そのとき、何が問題になるかというと、人によってコンテキスト、持っている背景がバラバラだということです。違う背景を持った人たちと付き合わないといけないわけです。私はたくさんの会社に出向きますが、会社によって文化も仕事の仕方もまったく違います。そういった異なる背景を持った人たちが集まったチームでは、自分の言いたいこと、伝えたいこと、主張したいことを、相手にわかる言葉で表現しないといけません。

 同じ会社にいれば「あれ」「それ」「これ」で伝わったことも、そうはいきません。わざわざ言語化して共有しないといけない。背景の違う人たちと仕事をするときは「言わなくてもわかっているだろう」がのちのちトラブルの基になります。

 別な表現をすれば、擦り合わせ型からプロジェクト型に仕事の環境が変わってきているわけです。これは大きな変化ですが、多くの日本人は十分な準備ができていません。バックグラウンドが違う人たちと一緒に仕事をすることに慣れていないのです。