スマートフォン、タブレット、ノートパソコンとモバイル端末が多様化し、これらとともに使うSIMもデータ専用、090/080番号による電話機能付き、データ容量の大小と選択肢が増えた。営業担当者をはじめとするモバイルワーカーにどんな機能の端末を提供するのがいいか、というハードウエアの選択だけでも大変である。

 筆者の顧客の中には電話用のフィーチャーフォン、モバイルルーター、そしてiPadと、SIMは2枚、端末は3台持たせている企業もあるし、前回Mモデルで取り上げた例のようにiPhone 6のテザリングでタブレット型PCを持たせている企業もある。SIMは1枚、端末は2台である。

モバイルデバイス利用のパターン比較

 モバイルワーカーに電話は必須であること、テザリングが容易に使えるようになったことを考えると、これからはモバイルルーターの出番は減るだろう。そこで、モバイルルーターを使うパターンを除いて、SIMを1枚で済ませるか、2枚使うか、電話は旧来の090/080番号を使うか、050番号を使うか、という2つの軸でモバイルデバイスの利用パターンを分類したのが図8である。

図8●SIMと電話番号の種類で分類したモバイルデバイス利用パターン
図8●SIMと電話番号の種類で分類したモバイルデバイス利用パターン
[画像のクリックで拡大表示]

 どのパターンを選択するかは費用の安さだけでなく、電話が確実に使えて品質が十分であること、使い易さ、運用管理の容易性などを検討せねばならない。

 050番号か090番号かという比較では、筆者のお薦めは050番号である。050番号の電話の音声品質は、090番号に劣るがインターネットを使わない閉域モバイルでは問題ない。安価なデータ専用SIMで使えて、基本料や通話料も割安なのが大きな魅力だ。

 ただし、050番号を使うにはスマートフォンにソフトフォン(通話アプリ)をインストールする必要がある。ソフトフォンによって使い勝手やバッテリーの持ち、音質が違うので事前にチェックせねばならない。

 シングルSIMで050番号を使うパターンでは、Aが常識的な形態である。SIMフリースマホにデータ専用SIMを装着し、パソコンやタブレットをテザリングで使う。発信・着信といった電話の操作は一般の携帯端末とさほど変わらず、違和感なく使える。