ITproの人気コラム「木村岳史の極言暴論!」の筆者の講演を記事化した特集「極言暴論ライブ」は、今回から後半に入る。この講演は2015年12月に行い、聴講者の9割以上が「参考になった」と好評を博したため、ITpro上でその内容を要約することなく再現することにした。

 これまでの前半の3回では、それぞれ「第1回~デジタル時代に用済みとなるIT部門とSIer 」「第2回~マイクロソフトは沈まぬ帝国、AWSもiPodも存在せず 」「第3回~デジタルの進展でITベンダー化するユーザー企業 」と題し、急速に進むビジネスのデジタル化の本質や破壊力などについて論じてきた。

 それを踏まえて、後半の3回では、デジタルの潮流に対応できないユーザー企業のIT部門やITベンダーの体たらくを一刀両断にする。これはまさに「極言暴論」の木村編集委員の十八番の話だ。まずは今回、IT部門が事業部門に「抵抗勢力」と罵られる理由を解説する。(ITpro)


 これまでお話した通り、多くのユーザー企業がビジネスのデジタル化を推し進める中で、大きな課題となっているのが、システム面でそれを担うIT組織の在り方です。ビジネスのリアリティにシステム面で即応していかなければならないのですが、既存のIT部門は対応が難しく、事業部門が要望に十分に対応できていません。

(撮影:古立 康三)
(撮影:古立 康三)
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 IT部門の人は「社内でIT部門こそがITに関する技術知見や開発力を有する唯一の部署」と主張します。確かに「そりゃ、そうだ」と思うわけで、普通に考えればデジタル化のためのシステムもIT部門が担って当然です。でも、本当にそうでしょうか(スライド1)。

スライド1
スライド1
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 IT部門がこれまで担当してきたのは、基幹系システムといったバックヤードのシステムです。安定運用を重視する基幹系だから仕方がないと言えばそうなんだけど、IT部門の人たちは枯れた技術を使いたがります。「新しい技術を使ってバグを踏んだりして、大きなトラブルに見舞われるのは御免だ」というわけです。