人材情報SNSサービスのウォンテッドリー(Wantedly)は2016年1月にビジネスチャットサービス「Sync(シンク)」を始めた(写真1)。「Slack(スラック)」「チャットワーク」などが先行するこの分野では“最後発”ながら、同社は既に法人分野で顧客基盤を持ち、ユーザーにとってなじみ深いという強みがある。

写真1●ウォンテッドリーが2016年1月に開始したビジネスチャットツール「Sync(シンク)」のメイン画面
写真1●ウォンテッドリーが2016年1月に開始したビジネスチャットツール「Sync(シンク)」のメイン画面
(出所:ウォンテッドリー)
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 同社の主力事業は求人する企業と求職する個人をマッチングするSNS「Wantedly」である(関連記事:「高度経済成長期とは働く動機が違う」、ビジョンが企業と人をつなぐ)。チャットツールへの“異業種参入”の理由について、川崎禎紀取締役CTO(最高技術責任者)は「以前からビジネスコミュニケーション全体を支援するサービスを視野に入れていた。その要素としてチャットツールの重要性に注目していた」と説明する(関連記事:「WantedlyはCEOそのもの、私の仕事は形にすること」、ウォンテッドリーの川崎禎紀CTO)。

 最初は人材・求人分野に経営資源を集中させる形でWantedlyを始めた。これが軌道に乗ったため、Syncを投入したというわけだ。

原則無料で利用可能

 現時点ではSyncは原則無料で利用できる。Syncに参加するメンバーはWantedlyのアカウントが必要である。企業・組織として使う場合は法人用アカウント(試用版は無料)を作成する。

 アカウント登録をしなければならないハードルはあるものの、月間利用者数が約70万人、ベンチャー企業を中心に約1万2000社に上るWantedlyの既存ユーザー・法人にとっては使い始めやすい。同社の戦略としては、当面はSync単体での収益化ではなく、主要事業であるWantedlyのユーザー層拡大を目指す考えだ。