ロボットがクラウドにつながることで新しいサービスを生み出す取り組みが拡大している。
代表的なのが、ロボットが収集したデータを分析するIoT(Internet of Things)の考え方だ。工場の産業用ロボットがクラウドにつながることで、故障予知が可能になる。
ファナック:自動車メーカー向け産業用ロボットの故障を予知
産業用ロボットの稼働率向上を目指して、クラウド連携させるのがファナックだ。2016年夏に、自社製の産業用ロボットの故障を事前に検知して通知するオプションサービスを提供開始する計画だ。「搭載する部品が2週間後に壊れる、といった予知を可能にする」(ファナックの稲葉清典 専務取締役ロボット事業本部長)。
ファナックは同サービスの開発に当たって、米シスコシステムズと共同で、自動車メーカーの北米工場で生産ラインの停止時間を削減するプロジェクトに取り組んできた(写真1)。産業用ロボットはセンサーを搭載し、搭載するモーターやベアリングの稼働状況、損耗具合に加え、工場内の気温などを計測している。
これらのデータを収集・分析するためのプライベートクラウドの構築を、シスコシステムズに依頼した。「12カ月間にわたって検証した結果、生産設備のダウンタイムをほぼ100%なくせるといった成果が得られた」(ファナックの稲葉専務取締役)という。
ターゲットは、自動車メーカーだ。ファナックは月当たり約2500台の産業用ロボットを自動車メーカー向けに出荷しているという。これらのロボットに対してオプションサービスとして提供し、工場における生産ラインの停止時間の削減を狙う。