2020年に世界の市場規模が130億米ドルまで拡大するドローン。教育や産業などでの活用事例、製品に対する消費者の指向などから、その最新動向を解説する。 

 2016年2月15日の午後、東京都世田谷区にある田園調布雙葉学園のグラウンドから、1台の白い機体が飛び立った。ドローン(無人飛行機)である。ぐんぐんと高度を上げ、瞬く間に約100メートルの高度まで到達した。生徒からは「すごーい!」「高度は今何メートルなの?」「なんであんなに安定しているの?」などの歓声が相次ぐ。教員も上空のドローンを夢中になって見つめている(写真1)。

写真1●グラウンドを飛行するドローン。操縦しているのは日本マイクロソフトの業務執行役員である西脇資哲エバンジェリスト
写真1●グラウンドを飛行するドローン。操縦しているのは日本マイクロソフトの業務執行役員である西脇資哲エバンジェリスト
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 ドローンは最大手メーカーである中国DJI製「Inspire 1」だ。約100メートルの高度まで到達した後、撮影に適した高度まで徐々に下降。高度60メートルほどの地点で、見下ろす校舎とグラウンドの全景を撮影した(写真2、3)。

写真2●この日、ドローンは約100メートルの高度まで上昇した後、撮影に適した高度まで下降した
写真2●この日、ドローンは約100メートルの高度まで上昇した後、撮影に適した高度まで下降した
(出所:西脇資哲氏)
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写真3●上空のドローンを見つめる生徒と教師たち
写真3●上空のドローンを見つめる生徒と教師たち
(出所:西脇資哲氏)
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 なぜ、女子校のグラウンドをドローンが飛行しているのか。実は、同園における情報科目の授業の一環なのだ。この日は、中学校と高校の合同授業が開かれ、合計で約40人の生徒が参加した。

 「情報の授業では、ExcelやPowerPointの操作を習得するだけでなく、様々な体験学習を実施している。産業や社会を支えているITを、実際に肌で体験することが必要だ」。同校の小林潤一郎教諭はこう話す。