人間が手掛けるのではなく、AIがより優れた結果を出せる領域もある。その中で、AIは自律的に進化を遂げる。

AIが自律的に進化

 ITがビジネスそのものであるネットサービスでその萌芽が見える。スマートフォンアプリの開発者向けに、データ分析や広告収益の向上、販促などの支援サービスを提供するメタップスは、その好例だ。広告のクリック率を上げるにはどうしたらよいか、新規ユーザーを呼び込んだり既存ユーザーの利用率を高めたりするにはどんなプロモーションをすべきか、といったことをAIが判断する(図12)。「人間がやるよりも効果がある」。代表取締役CEOの佐藤航陽氏は断言する。

図12 メタップスが提供する、スマートフォン向けアプリの集客/分析サービス
広告ターゲティングの精度は人間を上回る
図12 メタップスが提供する、スマートフォン向けアプリの集客/分析サービス
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 実際に人間とAIで、広告による収益化の成果を競わせたことがあるという。最初のうちは人間のほうが優れた結果を出すが、2~3カ月後にはAIが上回るようになった。専門家が持っている知見をあっという間にAIが凌駕した。

 なぜそれほどの成果を出せるのか。後日調べようとしたが分からなかった。人間には見えない法則性をAIは見つけていたわけだ。

 その一つが、アプリ間の類似度。人間なら、AとBという性格の似たアプリがあった場合、それを使っているユーザーも重なっていると考えがちだ。だがシステムは、AやBとは全く関連のなさそうなCというアプリとのユーザー層の重なりが大きいことを素早く見つけ出す。「人間が見ても、なぜその二つの関連性が高いのか分からない。だが、きっと何らかの法則があるのだろう」(佐藤氏)。