第1回では、慣用的な表現というのがGUIの世界にもありますよということを解説しました。ただし、一般的なイディオムに、皆さんが作るシステムとかアプリケーションが、当てはまらないことも多いと思います。

 その場合は、独自のイディオムを作らないといけない、既存のものを応用しながら自分たちで考えて作らないといけないということになります。そのときにどの辺から考えるのかというと、アプリケーション構造から考える必要があります(図1)。

図1●アプリケーション構造の全体像を検討する
図1●アプリケーション構造の全体像を検討する
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 そこでまず、このアプリケーション/システムはユーザーのどのようなタスクに役立つのか、を考えます。例えば、ユーザーはそこで人と何かメッセージのやり取りをするのか、何か創作をするのか、事務的な申請をするのか、などです。

どのようなオブジェクトを見せるのか

 次に、「どのような機能/サービスを提供しているのか」「画面にはどのようなオブジェクトを見せるのか」を考えます。ここでいうオブジェクトとは、例えばメールソフトでいう「受信メール」「書いているメール」「送信メール」「宛先のアドレス」といったものが該当します。プログラミングにおけるオブジェクトの概念とほぼ一緒なので、ここでもオブジェクトと呼びます。

 GUIにおいては画面上に見えているものはオブジェクトですし、それを実現しているオブジェクト指向プログラミングにおけるオブジェクトと、その概念は多くの場合一致します。

 そういったオブジェクトはどのように分類、整理するかというと、先ほどはメールシステムを例に取りましたが、顧客管理を例に取れば「顧客の一覧」「ある顧客の詳細情報」などの表現になります。それから「ユーザーはそれをどのように扱うのか」、例えばクリックして開くのか、何か選択して移動するのか、ということを考えながらアプリケーション全体の構造、構成を描いていきます。