抵抗勢力になりそうな“予備軍”は、あらかじめプロジェクトチームのメンバーに取り込んでしまうのも一手だ。はっきりモノを言う人、ベテラン、社内政治に影響力のある部門――。敵に回すと怖いが、うまく巻き込めばまたとない強い味方になる。

 チームメンバーをどうやって選んだらよいか」。こんな質問をよくいただく。私たちコンサルタントが企業の業務改革プロジェクトを支援するとき、最初にお手伝いすることの1 つでもある。

 難しいプロジェクトをやり切れるチームや、抵抗に強いチームを作るには、どんなことに気をつけてメンバーを集めたらよいか。今回は、抵抗勢力に負けないチーム作りを解説したい。まずはプロジェクトチームの顔ぶれだ。

メンバー構成の考え方

1.自分とは違うタイプを集める

 変革を成し遂げるまでには、実に色々なことが起こる。そして関係者にも色々な人がいる。だから、コアメンバーのスタイルが似通っていると、難所を突破できないことが多い。真にチームワークに優れた組織には「同じ穴のムジナではなく、自分にはないモノを持った人たちが集まっている」「他のメンバーの“色”に応じて、自分が演じる役割を微調整できる(バランス感覚を持っている)」という特徴がある。

 例えば、リーダーがアクセル役なら、サブリーダーはブレーキやハンドル役。リーダーが強行突破型なら、サブリーダーは根回し調整型、といった具合だ。

 他にも、リーダーがアイデアマンタイプで、それを支えるプロジェクトオーナーは現実的に考え抜くタイプ、といった場合もある。要はバランスが重要なのだ。

 変革の方向性によっては、抵抗しそうな人や組織をある程度予想できるもの。そういった場合に取り得る選択肢は2 つある。1 つは「プロジェクトチーム vs. 抵抗勢力」という構図をあえて作り、正面から戦う方法。もう1 つは、プロジェクトチームの内部に抵抗勢力になりそうな人たちを取り込んでしまう方法だ。

 通常は「プロジェクトの計画が出来上がり、いざ実装する段階になってから反対されるよりは、初めから計画の立案に参加してもらった方が建設的」という理由から、後者の取り込み作戦を取ることが多い。

 誰でも、計画がいったん出来上がってしまってから「これでやりますので従ってください」と言われても、なかなかイエスとは言えない。逆に、自分が参加して一緒に練り上げた計画なら愛着があるし、一生懸命に実現しようと協力するものだ。

 それに、我々の方から勝手に「あの人は抵抗勢力だ」などとレッテルを貼らず、フラットに議論してみることも大切である。すると、変革をより良くするためのアイデアの持ち主であることも少なくない。