「とにかくイヤなんだよ!」。感情的になり、非合理的な理屈を振りかざして改革に反対する抵抗勢力。だがこうした人たちにもうまく対応する手段はある。ここで折れると抵抗勢力はさらに強くなり、プロジェクトをつぶしにかかることになりかねない。ここが正念場だ。

 これまでは「隠れた抵抗」と「表に出た抵抗」のそれぞれの対処の仕方や、抵抗のレベル2までの対応方法を解説してきた。実は、抵抗のレベル2までに問題を抑えることが、対応の大事なコツなのだ(図1)。レベル3以上になると、途端に対応が難しくなる。

図1●隠れた抵抗/表に出た抵抗
図1●隠れた抵抗/表に出た抵抗
[画像のクリックで拡大表示]

 とはいえ、レベル3と4の抵抗に直面することもしばしばある。今回はそれらへの対応策を見ていこう。まずはレベル3の「何が何でも反対」への対応だ。

レベル3 「何が何でも反対」に対応

 このレベルになると、合理性を欠く反対が横行する。会社全体で見れば効果が高い施策であっても、「大変になる部署があるからやりたくない」という、全体感を欠いた主張も出てくる。滅多に起こらないリスクを挙げて「リスクが大きいから、実行すべきではない」と強硬に主張する人もいる。もっとひどい、屁理屈としかいいようのない理由で変革に反対する人もいる。

 私自身、施策の是非を検討するシーンで、「理由はうまく説明できないが、とにかく嫌なんだ」と面と向かって言われた経験があるし、「全体としてはいい変革だと思うが、この部分はやるべきではない」と、その人の部署が担当するところだけは変革を拒否されたこともある。

 今の業務に思い入れがあるとか、現在のシステムを全部設計してきたプライドがあるとか、改革を推進する人が(個人的に)嫌いとか、色々な事情によって、「とにかく反対」状態になっているのだ。これらに丁寧に反論していくのは非常に骨が折れる。しかし、変革プロジェクトとしては我慢のしどころだろう。

 理性的な判断を取り戻してもらうために、私たちがよく使う7つの工夫を紹介しよう。