802.11nから利用できるようになった高速化技術に、「チャネルボンディング」がある。隣接する複数のチャネルを束ねて通信に利用することで、通信速度を高める。通常は20MHz幅の帯域幅を、40MHz、80MHz、160MHzといったように広げることができる(図2-5)。

図2-5●チャネルボンディングの多用は避ける
図2-5●チャネルボンディングの多用は避ける
チャネルボンディングは、複数のチャネルを束ねることで通信速度を高める。その分使用できるチャネル数が少なくなる。オフィスなどで複数のAPを設置 する環境には不向きだ。
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 速度が速いのはよいと思える。しかし、チャネルボンディングには重大な欠点がある。帯域幅を広げるぶん、一定の空間当たりで使用できるチャネルが減ってしまうのだ。

 5GHz帯は20MHz幅なら19 チャネルが使えるが、40MHz幅にすると9チャネルになる。80 MHz幅なら4チャンネル、160 MHz幅ならわずか2チャンネルしか使えなくなってしまう。

 一般家庭のように1台のAPと数台のクライアントだけが通信する環境であれば、チャネルボンディングは有効な技術といえる。手軽に速度が向上する。

▼チャネルボンディング
隣り合うチャネルを束ねて使う技術。通常無線LANでは、1つのチャネルを細かいサブキャリア(搬送波)に分割し、各サブキャリアに送信データを載せて運ぶ。チャネルボンディングを利用するとサブキャリアの数が増えるので、多くのデータを一度に送れるようになる。
▼160MHz
11acでは規格上160MHzまで束ねられるが、現時点では80MHzまでしか対応製品は存在しない。11nは規格上40MHzまで。