APの電波強度を強く設定すると、遠くまで電波が届く。しかし他のAPの干渉源となりかねない。また、電波が遠くまで届くと低速なクライアントが接続して、ほかのクライアントの通信速度が低下する恐れもある(図2-4)。
電波強度は、むやみに強くしないのが賢明だ。また、低速で通信しようとする電波は無視する。「2.4GHz帯なら11Mビット/秒以下、5GHz帯でも18Mビット/秒以下の通信はオフにするとよい」(ユニアデックスの秋谷氏)。
接客スタイルの変更を機に「脱家庭用無線LAN」
社内の一部で試験的に無線LAN を導入しているが、これから本格的に利用を始めたい──。こう考える企業にとって、機能や性能、セキュリティなどについて、既存無線LANの見直しは不可欠だ。
大阪トヨペットは、トヨタ自動車が提供する販売店向けシステムの刷新に合わせて、タブレットパソコンを導入。それまで使っていた無線LANのAPを、集中管理が可能なAPに入れ替えた。2014年12月のことだ。営業担当者は、無線LANに接続したタブレットを使って顧客に商品やサービスを説明する(写真A)。
接客の中心的な役目を担うシステムなので、信頼性が重要になる。「トラブルの原因をいち早く究明しなくてはならない。そのためには、遠隔からでもAPを一元管理し、状況を把握する仕組みが不可欠だった」(大阪トヨペットのIT 関連会社オーアイエスコム アウトソーシング部の佐野 嘉郎部長)。
コントローラーから、60拠点にある130台のAPを管理する(写真B)。それまで使っていた家庭向けAPは、1台ずつログインして設定画面を開かなくてはならず、運用が大きな負担だった。