無線LANがつながりにくい、つながるけど速度が遅いと感じるとき、真っ先に考えつく対策がアクセスポイント(AP)の増強だろう。その結果、「訪問したある企業で、密集する小さな6つの会議室の各部屋に1台ずつAPが設置されていて驚いた」(ネットワンシステムズ ビジネス推進本部第1応用技術部の山下 聖太郎氏)などという事態に陥る。

 APを密集させていると、お互いの電波が干渉してしまう可能性が高まる。干渉がひどくなると、通信速度は低下する。環境を改善するために追加したAPが、環境をさらに悪くしてしまう。

密集が干渉を招く

 無線LANは、限られた周波数帯を使って通信する技術だ。周波数帯をいくつかの「チャネル」に分けて、複数のAPや無線LANクライアントが使用する。

 2.4GHz帯5GHz帯の2つがある。2.4GHz帯は、IEEE 802.11b/g/nで使用する。13のチャネルに分けて、AP1台に1つのチャネルを設定し、そのチャネルで複数の無線LANクライアントと通信する。

 13チャネルといっても、隣り合うチャネルは使用する周波数帯が重なる(図1-1)。例えばチャネル1(1ch、以下同様)と2chを同じ空間で使うと干渉が起き、お互いがノイズとなる。従って、「ある程度離れたチャネル、例えば1ch、6ch、11chの3つを使用するのがセオリー」(フォーティネットジャパン プロダクトマーケティング部の田中 愁子氏)だ。

図1-1●2.4GHz帯では干渉なしに使えるチャネルは3つしかない
図1-1●2.4GHz帯では干渉なしに使えるチャネルは3つしかない
IEEE 802.11b/gなどで使用する2.4GHz帯は、13のチャネルを利用できる。しかし隣接するチャネルと周波数が重なっているので、選択するチャネルによっては干渉が発生してしまう。複数の無線LANアクセスポイント(AP)を、干渉させずに使うには、「1ch」「6ch」「11ch」といった、離れたチャネルを使うのが定石だ。
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