個人のプライバシー観は、国、地域、文化、時代、そして個人ごとに大きく異なる。では、あなたはどの情報を「プライバシー情報」と感じるだろうか?

 以下、架空のパーソナルデータを挙げてみるので、それがどれほど「秘密にしたい情報」と考えるか、自分の感覚をチェックしてみてほしい。リアリティを持たせるため、氏名は筆者のものを用いている。

氏名浅川直輝

 どうだろうか。氏名はそれ単体では、ある個人を他の人から区別し、特定する「識別子(ID)」にすぎない。このデータだけが漏洩しても、ほとんどの人はそれを気にすることはないだろう。では、次の情報はどうか。

住所東京都調布市××○-○-○

 これも、地図上のあるポイントという識別子を指すにすぎない。では、これらの情報を組み合わせるとどうなるか。

氏名浅川直輝
住所東京都調布市××○-○-○

 どうだろう。筆者の感覚でいえば、友達や知り合いに知られるのは問題ないし、好みの店舗やWebサービスには、会員情報として教えるのは構わない。ただ、付き合いがない企業には知られたくないし、広く公開してグーグル検索で閲覧されるのはもってのほか、と考える。

 「氏名」という自らを示す識別子に、住所という別の識別子をひもづけることで、それが秘密にしたい情報、「プライバシー情報」という性質を持ち始めることが分かる。