情報発信者側はユーザーの信頼性や自身の価値を損なわないよう注意して発信したい
情報発信者側はユーザーの信頼性や自身の価値を損なわないよう注意して発信したい
提供:123RF
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 ステルスマーケティング、通称「ステマ」で起きる問題は、企業やメディアなどの情報発信者側と、情報を得て判断する情報受信者で異なっている。前回は、情報受信者側、つまり一般ユーザーがどのような態度で情報に接すればいいのかという点について述べた。

 では、情報発信者側はどのような点について気をつければいいのだろうか。情報発信の方法を誤ると、信頼性や消費者との関係性に大きく影響するので、特に注意して扱う必要がある。最終回の今回は、情報発信者側、つまり一般企業やメディア側の視点で考えていきたい。

「景品表示法」違反か否かが境界線

 これまでもステマとそれ以外を見分けるポイントについて見てきたが、あらためて境界線について押さえておこう。

 ネイティブ広告は基本的には正当な広告手段だが、その中でも「PR」「広告」など広告と分かるクレジット表記のない「ノンクレジット広告」はステマになるので手を出すべきではない。ただし、ノンクレジット広告の中でも、法的に問題になる場合とならない場合がある。焦点となるのは、不当景品類及び不当表示防止法(景品表示法)違犯であるか否かという点だ。つまり、「優良誤認・有利誤認表示」があるか否かという点がポイントとなる。

 なお、優良誤認表示とは、「事業者が、自己の供給する商品・サービスの質について、実際のものよりも著しく優良であると表示することや、事実に反して競合事業者のものよりも著しく優良であると示す表示」を指す。例えば、有名国産ブランド牛と表示して販売しているのに、実際はブランド牛ではない国産牛であったなどの場合だ。

 有利誤認表示とは、「事業者が、自己の供給する商品・サービスの価格や取引条件について実際のものよりも著しく優良であると表示することや、事実に反して競合事業者のものよりも著しく優良であると示す表示」だ。例えば配送料を基本価格を表示せずに「今なら半額」と表示していたが、実際は50%割引とは認められない金額で請け負っていたなどの場合だ。

 これまでご紹介した例でも、消費者庁は景品表示法違犯か否かで判断しており、ペニーオークション事件では景品表示法に基づく措置命令を発しているが、食べログ事件ではやらせ業者に行政処分を科すことは難しいという判断となった。ただし行政処分対象とはならなくてもあくまで法的な話であり、消費者の企業イメージには大きなダメージを与え、信頼関係を損なうことになり、問題のある行為であることには間違いがない。