過去には業界では認められていた商習慣が、現在ではステマ扱いになっている例もある
過去には業界では認められていた商習慣が、現在ではステマ扱いになっている例もある
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 メディアでもステルスマーケティング、通称ステマが起こっている。2015年だけでもステマに関するメディア関連の事件が多数起こり、対策が取られている。代表的な事件を振り返ると、以下のものが挙げられる。

●Yahoo!ニュースがスタッフブログで「ステマ記事を積極的に排除、撲滅したい」と表明
●AOLオンライン・ジャパンが、自社の一部メディアで広告記事でありながらPR表記がないなど読者に誤解を招く表現があったと発表
●Yahoo!の子会社TRILLが、2014年11月〜2015年5月まで自社メディアで「広告表記のない記事広告」を掲載していたことを公表
●「ロケットニュース24」「Pouch(ポーチ)」などのネットメディアを運営するソシオコーポレーションが、両メディアに提供表記のない広告記事が掲載されていたと発表
●ハフィントンポスト日本版編集部がステマ記事排除に向けた「ハフポストブログ・管理チーム」を設立、ステマが疑われる記事を削除

 メディアではないが、HIKAKIN(ヒカキン)、はじめしゃちょーなど人気YouTuberを多数抱える芸能事務所UUUMが、所属するクリエイター向けに企業とのコラボレーション動画などを配信する際の提供表示ルールを策定したことを発表したのも同じ年だ(図1)。この年は、海外に目を向けると英語版Wikipediaステマ事件なども起こっている。

図1●UUUMが策定した提供表示ルール
図1●UUUMが策定した提供表示ルール
出所:UUUM(http://www.uuum.jp/2015/07/14/2904)
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 このように、2015年はメディアにおけるステマにスポットが当たった年だった。メディアがステマに侵されると、記事の信頼性や公正性が失われ、メディアの価値自体が失われてしまうため、どのメディアも徹底的にステマ排除に動いていたことは記憶に新しい。今回は、メディアのステマ騒動と構造、そこから浮かび上がるステマについての認識の変化について考えてみたい。