ステマは社会的に許されない行為。ステマについて 正しく理解しよう
ステマは社会的に許されない行為。ステマについて 正しく理解しよう
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 「ステマ」という言葉を見かけることが増えた。ステマとはステルスマーケティングの略称であり、またの名をアンダーカバーマーケティングという。消費者に宣伝ということを隠して宣伝する行為のことを指す。2012年には「ネット流行語大賞」年間大賞と金賞を受賞するなど、近年になって特に注目を集めている概念だ。

 最近は、特に企業やWebメディアによるステマが問題視されてきている。ビジネスパーソンとしては常識として理解しておくべき社会問題であり、マーケターとしても、ユーザーにステマと間違われないよう、概念を正しく理解しておく必要があるだろう。

 そもそもステマとは何なのだろうか。ステマをめぐる現状と歴史について見ていこう。

2015年を騒がせたステマ騒動

 改めて、ステマとはどのようなものを指すのだろうか。ステルスマーケティングのステルス(Stealth)とは、「こっそり隠れる」という意味である。敵のレーダーで発見されづらいようにした航空機をステルス機というが、同じ意味である。そしてマーケティング(Marketing)は、企業による販売促進活動全般のことを指す。つまり、企業が隠れて販売促進活動を行うことはすべてステマというわけだ。

 昨年2015年は、改めてステマが取りざたされた年だった。例えば5月には、サイバーエージェントやその子会社がネイティブアドのノンクレジット問題が起きている。ネイティブアドとは記事風の広告のことであり、広告には広告と明記しなければならないのに明記しなかったことが問題視されたのだ。

 さらに7月には、「Yahoo!ニュース」と記事提供契約を結ぶニュース提供社がネイティブアドのノンクレジット記事を配信している可能性について報じられ、Yahoo!ニュースはステマ記事について「積極的に排除し、撲滅したい」との考えをスタッフブログにて表明(図1)。同時に「マイナビニュース」「マイナビウーマン」「モデルプレス」の記事配信終了を発表している。マイナビニュースは、8月に広告記事の一部に誤解を招く表現があったことを公表。その後Yahoo!は、9月にも1社の配信を終了させ、12月までに複数社の配信を終了させる予定だと表明した。

図1●Yahoo!ニュースのスタッフブログによる「編集コンテンツと誤認させて広告を届ける行為(ステルスマーケティング、いわゆるステマ)に対する考え」
図1●Yahoo!ニュースのスタッフブログによる「編集コンテンツと誤認させて広告を届ける行為(ステルスマーケティング、いわゆるステマ)に対する考え」
出所:Yahoo!ニュース(http://staffblog.news.yahoo.co.jp/info/20150730.html)
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 同じく8月には、AOLオンライン・ジャパンが自社の一部メディアにおいて広告記事でありながらPR表記がないなど読者に誤解を招く表現があったと発表。9月には、Yahoo!が子会社TRILLで広告記事を編集記事とみなす誤解を招くような表現があったとお詫びする事態が起きている。

 ブログメディアのハフィントンポストでも、9月にステマ排除に向けた「ハフポストブログ調査・管理チーム」の設立を発表。ステマが疑われる過去記事については随時削除し、今後の寄稿についても疑わしい場合は不掲載の上投稿者に警告するとした。

 2015年は、特にWebメディアにおける広告と明記しないステマ広告が問題視された年だったというわけだ。社会的にステマに対する問題意識が高まっていることが、一連のこのような事態につながったと考えられるだろう。