「SEとして一皮むけた」「SEとは何かが腹に落ちた」「仕事のやり方を変えられた」。こうした体験はあるか。

 この質問にエムズ・ネット・スクエアの杉村倫代代表取締役と古谷都紀子取締役に答えてもらった(関連記事『SEの教訓・新人の甘えは許されない』、『SEの教訓・我々は出入り業者だ』)。

 1999年設立の同社は主に若手や中堅に向けてヒューマンスキルの研修を提供している。このため、必要とされる人材像や育成策についてお二人と話すことがある。ある時、お二人は若い頃どうであったのかと思い、尋ねてみた。

 今回は杉村氏の体験を紹介する。入社3、4年目の頃、中規模のシステム開発を進めていた顧客の現場に、支援役のSEとして入ることになった。

 「ある会議に出た時、先輩SEが会議室の壁一面にフリップチャート紙を貼り、そこにお客様の業務を黙々と書き出していった。昔はホワイトボードなど無く、紙に書いていたが、その先輩は一切書き直しをせず、すべての業務とその関連を30分程度で書き上げた」

 会議にはSEの他に営業担当者も出席しており、先輩SEが一気に描いた顧客の業務図を見渡しながら、これからどこを攻めるべきか、営業の方向性を討議し始めた。