トヨタ自動車は今年1月に、人工知能技術の研究開発拠点を米国のシリコンバレーに設立した。それに先駆け、リクルートホールディングスがAIのグローバル研究開発拠点をシリコンバレーに作った。ネット企業大手の楽天も人工知能の活用に熱心だ。2016年はこれらの企業の活動内容や成果について、ITproの多くの読者の注目を集めることになるだろう。

 ITproの読者は、ロボットや人工知能の台頭をどう見ているのだろうか。国内の大手企業が人工知能やロボットの活用に熱心に取り組み始めていることもあって、「ロボットや人工知能は、労働力不足の解消やサービス強化に有効な手段であり、これらを使いこなさなければならない」。こう意気込んでいる読者は多いかもしれない。

 一方、個人的にはどう思っているのだろうか。「10~20年後、日本の労働人口の49%が人工知能やロボットなどで代替可能になる」。野村総合研究所(NRI)は2015年12月、英オックスフォード大学のマイケル・オズボーン准教授らとの共同研究の結果について、こう発表した。

 人工知能やロボットなどで置き換わる仕事としては、「IT保守員」や「データ入力係」「CADオペレーター」などが挙げられている。すぐにとはいかないまでも、ITproの読者が担当するシステムの開発、運用といった業務のなかでも単純な領域については、ロボットや人工知能によって自動化が進みそうだ。

 システム企画の仕事をしている。ITソリューションの企画・開発や営業を担当している。プロジェクトマネジャである。こうした読者は、「自分の仕事は知的な仕事であり、機械に奪われることはない」と考えるかもしれない。だが、それぞれの仕事を支援する「スマートマシン」が登場すれば、影響がゼロということはないだろう。ネガティブになる必要はないが、自身の仕事を見つめ直す時期に来ているように思う。