東急ハンズのCIO(最高情報責任者)である長谷川秀樹執行役員オムニチャネル推進部長(兼ハンズラボ代表取締役社長)と、ITproの人気コラム「極言暴論!」でおなじみの木村岳史による対談の最終回。3回にわたって議論してきた日本のIT業界の課題について、解決策を語り合った。

(構成は清嶋 直樹=日経コンピュータ

東急ハンズ執行役員の長谷川秀樹氏(左)と、日経コンピュータ編集委員の木村岳史
東急ハンズ執行役員の長谷川秀樹氏(左)と、日経コンピュータ編集委員の木村岳史
(撮影:陶山 勉)
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木村:ここまで3回にわたって、日本企業のIT部門と日本のITベンダーの“ダメなところ”について、2人で「極言暴論」してきた。このまま終えるわけにもいかないので、何か解決策を示したいところだ。

長谷川:やはり、IT部門が自分で開発するしかないのではないか。IT部門が自分で「手を動かす」ということをしないと、根本的なところは直らないと思う。

 その一方で、作らなくよいものは徹底して作らない。東急ハンズの会計システム刷新では、パッケージソフトをほとんどカスタマイズせずに利用することにした。ユーザー部門に要望を聞くと、「そのまま使う」と言ってくれるはずがない。我々のIT部門が「機能がこう変わります」と説明して納得してもらった。

 とにかく、外部のITベンダーに“丸投げ”してはいけない。外部に頼むと、カスタマイズすればするほどもうかるから、カスタマイズだらけになるのは必然だ。「フィット&ギャップ分析」なんてのも信用できない。私から見れば、「ギャップ」を洗い出してカスタマイズ量を膨らませるための分析に思える。

木村:私も自分で開発する力のない「無能なIT部門」について、たびたび批判してきた(関連記事:なぜベンダーは無能なIT部門を無視しないのか、それは自分も無能だから?)。IT部門が変わるのはなかなか難しいのではないか。