東急ハンズのCIO(最高情報責任者)である長谷川秀樹執行役員オムニチャネル推進部長(兼ハンズラボ代表取締役社長)と、ITproの人気コラム「極言暴論!」でおなじみの木村岳史による対談の第2回。IT部門の“技術者”の在り方について議論した。

(構成は清嶋 直樹=日経コンピュータ

東急ハンズ執行役員の長谷川秀樹氏(左)と、日経コンピュータ編集委員の木村岳史
東急ハンズ執行役員の長谷川秀樹氏(左)と、日経コンピュータ編集委員の木村岳史
(撮影:陶山 勉)
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木村前回の最後で、「手を動かす」という言葉が出た。もう少し詳しく聞きたい。

長谷川:「手を動かす」というのはやはりプログラムを書いたり、システムを設計したりすることだと思う。システムエンジニア(SE)、つまり“技術者”とはそういうことじゃないか。

木村:現実には大手ユーザー企業のIT部員というのは、ほとんどプログラムを書かない。プログラムを書かなくても、IT部員が要件定義をしたり、プロジェクトマネジメントをしたりするのなら、それでも構わない。プログラムを書けなくてもプロジェクトマネジャーとして優秀な人を数多く見てきた。だが実際には、それも含めてITベンダーに“丸投げ”してしまうケースが増えている。

長谷川:前回、「IT部門はSIerとの相互作用でダメになっていく」という話をした。突き詰めていくと、ユーザー企業がITベンダーに「請負契約」で“丸投げ”してしまうのが悪いと思う。IT部門がプログラムも書かず、プロジェクトマネジメントもしないとなると、本当に“残りかす”のような仕事しかなくなってしまう。

 IT部門が“残りかす”のような仕事ばかりをやっていると、ITベンダーとユーザー部門の間に入って取りまとめだけをする“事務局”のような役割になる。私もITベンダーにいたことがあるからよく分かるが、このようなケースではITベンダーも仕事をやりにくい。優秀なITベンダーなら「ユーザー部門と直接話をしたい(IT部門を通すと訳が分からなくなるので……)」と提案するだろう。