JR西日本は、同社が運営する北陸新幹線で2015年3月、山陽新幹線で2015年7月1日から、乗務員全員にiPadを携帯させている。車内を動き回る車掌には小型・軽量なiPad mini、移動が少ない運転士には視認性を重視して画面サイズの大きいiPadを貸与。乗り換え案内をはじめとする情報提供などで活用し、顧客サービスの向上を図る。同社のデータセンターやパブリッククラウドとつなぐセキュアなモバイル通信インフラを通じて、各種サービスを提供する。

解決すべき三つの課題

写真●西日本旅客鉄道(JR西日本)  IT本部 IT計画(運輸系) 担当課長 小山秀一氏
写真●西日本旅客鉄道(JR西日本) IT本部 IT計画(運輸系) 担当課長 小山秀一氏

 導入したiPadは、北陸新幹線で約200台、山陽新幹線で約900台。この取り組みの背景について、IT本部 IT計画(運輸系) 担当課長 小山秀一氏(写真)は、「2013年に策定した『JR西日本グループ中期経営計画2017』において、世界に誇る技術を持つ新幹線のポテンシャルを高めることを掲げている。その一環として各種施策を検討した際、乗務員の業務オペレーションやサービス品質を高めるため解決すべき課題が三つ抽出された」と話す。ITでそれらの課題を解決する方法として浮かび上がったのが、iPadの活用だった。

 解決が必要な三つの課題とは、安全の観点で「異常時対応能力の向上」、顧客満足度向上(CS)の観点で「顧客への情報提供の強化」、従業員満足度向上(ES)の観点で「携行品の簡素化」である。iPadの活用によって、これらを次のように解決した。