2017年10月1日から5日間、世界最大のJavaの開発者会議である「JavaOne」が開催されました。昨年までは、サンフランシスコのHilton Hotel、Parc 55 Hotelが会場でしたが、今年はMoscone Centerに場を移しました。米Sun MicrosystemsがJavaOneを主催していた時代はMoscone Centerでの開催でしたので、古巣に戻った感があります。

会場となったMoscone Center
会場となったMoscone Center
(撮影:櫻庭 祐一、以下同じ)
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 今年もキーノートセッションに加え、500近くのセッションが行われました。通常のセッションだけでなく、ハンズオンやチュートリアルなどもあり、様々なJavaの情報に触れることのできる5日間となりました。このJavaOneのレポートを2回にわたってお送りします。今回はキーノートセッションを中心に、次回は筆者が聴講したJava SE関連のセッションからレポートします。

 キーノートセッションでは、米OracleによるJava Keynote、Developer Keynote、Community Keynoteと、スポンサーによる米Intel Keynote、米IBM Keynoteが行われました。Java Keynoteが技術的な内容で、Developer Keynoteはクラウド中心の内容ながら大きな発表などはありませんでした。Community Keynoteは例年通り、コミュニティーのためのキーノートセッションです。

 ここでは10月2日のIntel KeynoteとJava Keynoteから、特にJava SEにスポットを当ててレポートします。

Intel Keynote

 キーノート全体の司会は、OracleのVice President of Software DevelopmentであるGeorges Saab氏です。

米OracleのGeorges Saab氏
米OracleのGeorges Saab氏
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 Saab氏が招き入れたのが、IntelのVice PresidentであるMichael Greene氏です。Intelのキーノートではデータの重要性を説き、IntelのCPUとJavaの組み合わせの有効性を示しました。中でも注目を集めたのは、OracleのChief JVM ArchitectであるJohn Rose氏による、フルカラーの画像をセピア色に変換する処理のデモンストレーションです。

Michael Greene氏(写真左)とJohn Rose氏(同右)
Michael Greene氏(写真左)とJohn Rose氏(同右)
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 セピア色に変換するには画像のピクセルごとに数値演算を行う必要があります。しかし、ピクセルを1つずつ処理するのは非効率です。そこで使用していたのが、1つの命令で複数のデータを処理できるSIMD(Single Instruction Multiple Data)命令をJavaで扱えるようにする「Vector API」です。

 Rose氏はVector APIを使用することで、既存の手法よりパフォーマンスが向上することを示しました。Vector APIは「Project Panama」で提供される予定になっています。

 なお、Vector APIに関しては筆者が聴講したテクニカルセッションの内容を基に、次回のレポートで紹介します。