無線LANでは各端末がチャネルの空きを確認することで、同じチャネルを共用しています。ただ、11acでは高速化のために広い周波数帯域幅をサポートしています。このため、既存規格とチャネルが重複する場合、適切な周波数帯域幅をうまく選択しています。

チャネル幅を段階的に設定

 前述のように、802.11規格が採用するCSMA/CAでは、各端末がチャネルの空き状況を確認してフレームを送信します。

 11ac規格では、送信側で伝送帯域幅の決定を簡単に行えるよう、段階的なチャネル幅設定の仕組みを取り入れています。このために導入されたのが「プライマリーチャネル」および「セカンダリーチャネル」という考え方です。まずAPと端末の間で最大帯域幅をあらかじめ決めたうえで、通信を行う際に必ず用いる20MHz幅のプライマリーチャネルを設定します。その後にセカンダリーチャネルを追加して帯域幅を拡大します。

 この仕組み自体は11nで導入されました。それを11acでは拡張し、80MHz幅向けの「セカンダリー40MHzチャネル」、160MHz幅向けの「セカンダリー80MHzチャネル」を規定しています。例えば、80MHz幅のチャネルを確保する場合、まず20MHz幅のプライマリーチャネルを設定します(図2-3)。フレームを伝送する際には、プライマリー→セカンダリー→ セカンダリー40MHzという順番でチャネルの空き状態を確認します。

図2-3●11acのチャネル設定で重要となる「プライマリーチャネル」
図2-3●11acのチャネル設定で重要となる「プライマリーチャネル」
11acには帯域幅を拡張して伝送容量を拡大する仕組みが備わっているが、そのチャネルの設定で 重要な役割を果たすのが、「プライマリーチャネル」という20MHz幅の共通チャネルである。どの 周波数帯域幅でも、プライマリーチャネルを含む形でチャネルが設定される。この仕組みは11nの ときに初めて導入され、11acで拡張されている。
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