本連載でレビューしているSIMフリースマートフォンは、大半がLTEまたはLTE-Advancedという通信規格に対応している製品だ。これらの規格は、4G(第4世代移動通信システム)と呼ばれている。携帯電話の技術はどんどん進化していくが、4Gが進化していくとどうなるのだろうか。

 2017年2月27日~3月2日に、スペイン・バルセロナにて開催された世界最大級のモバイル展示会「Mobile World Congress 2017(以下、MWC)」において、ネットワーク・インフラ分野で今年の重要なキーワードとなっていたのは、4Gの次の世代にあたる「5G(第5世代移動通信システム)」だった。

 MWCの会期中に、NTTドコモ 5G推進室の室長・中村武宏氏に「5Gサービスの技術開発の進捗」や「いま克服すべき課題」などを聞くことができたので、今回は特別編として同氏へのインタビューをお伝えする。

NTTドコモ 先進技術研究所 5G推進室 室長 主席研究員の中村 武宏氏
NTTドコモ 先進技術研究所 5G推進室 室長 主席研究員の中村 武宏氏
(撮影:村元 正剛、以下同じ)
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日本では、5Gは2020年の商用化をめざして、研究開発が進められていると聞きます。この計画に変更はなく、また、日本は他の国よりも早く5Gを始めることになるのでしょうか。

 NTTドコモは東京オリンピックが開催される2020年に商用サービスを始めるべく、準備を進めています。ただし、日本が一番早いわけではなく、例えば韓国のKTは2019年に5Gを開始することを宣言しています。アメリカのベライゾンも2018年頃に始めようとしています。ですので、ドコモが世界に先駆けてというわけではないですし、その必要性もないと思っています。

今回のMWCでは、展示テーマとして「5G」を掲げるキャリアやベンダーが多かったように思います。“世界初”を競い合っている印象も受けましたが、世界初という点に関しては、どのようにお考えですか。

 そこに重きをおく企業もあると思いますが、ドコモは3Gのときの苦い経験もあり(※筆者注:商用化が早すぎた)、そこにはこだわっていません。4GであるLTEのときもそうでしたが、「最初のオペレーター」というわけではなく、「最初のグループ」にいることが大事だと考えています。