2050年にビジネスとIT(情報技術)の姿がどうなっているか想像してみよう。ビジネスもITもそれらの担い手も大きく変わっているに違いない。それでも組織と人を情報でつなぐ役割は必要で、システム部門は残る。今日の仕事が将来に影響を与える。ソフトウエアの寿命は案外長いからだ。

 今号は日経コンピュータの第900号である。前号の本欄で予告した通り、今から 34年後、 2050年前後に情報システムとそれを担う情報システム部門がどうなっているか、想像してみたい。

 日経コンピュータが創刊した 1981年から今日までの 34年間で、コンピュータに関わる技術とその担い手の顔ぶれは大きく変わった。同様の、場合によってはそれ以上の変化が今後 34年間で起きるに違いない。

技術の主役は交代する

 例えば今、インターネット検索やクラウドコンピューティングで主役を務めている各企業は 34年後、消えているか、存続していたとしても端役に退いている。メインフレームや PCの分野で独占に近いほどの成功を収め、揺らぐことなど有り得ないと思われた企業がいずれも主役の座を新興企業に譲ってきた歴史がある。

 2050年には ITもICT(情報通信技術)もクラウドもすべて死語になっているが、コンピュータと通信に関わる技術を提供する企業群は様々な形態で活動している。技術そのものを提供する企業、技術を生かしたアプリケーションを提供する企業、各種の業務プロセスまで提供する企業などである()。こうした企業群は今すでにあるが、 2050年になれば提供されるソフトウエアやサービスを組み合わせるだけで情報システムを実現できるのではないか。人口の減少もあり企業ごとに技術者を動員して固有のソフトを開発するやり方は続けられない。

図 情報システムに関わる組織や人は増え続ける
2050年に情報システム部門は存続する
図 情報システムに関わる組織や人は増え続ける
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