日経コンピュータは2015年11月26日号で創刊900号を迎えた。1981年10月の創刊から34年が経つ。今週から、過去の日経コンピュータを振り返りながら、ITの現在と将来を占っていきたい。

 並行して、本企画では日経コンピュータでしかできなかった過去の特集記事をITproで紹介していく。今週は「『うっかりミス』はなくせる」、「プロジェクト実態調査800社」の二つの特集を公開する。

オープンシステムの隆盛と限界

 900号までの30年余を技術面でまとめれば、オープンシステムの隆盛と限界になりそうだ。創刊号には特集と銘打った企画はないが、ローカル・エリア・ネットワーク(まだLANという略称は使っていない)、Ethernetについて詳しく取り上げた技術解説やPC関連の記事が何本も掲載されている。OA(オフィス・オートメーション)化の切り札として、PCに加えLANに注目が集まり始めた時代の雰囲気が伝わってくる。

 最新号である900号の特集は、「シンギュラリティ前夜 AIと共に歩む人類」というタイトルだ。巨大なクラウドを前提に、そこに集まるデータをAI(人工知能)が分析する世界、コンピュータの「シンギュラリティ(技術的特異点)」が訪れつつある社会像に迫った。

 メインフレームによる集中処理から、PCが可能にしたオープンシステムを経て、クラウドが登場したことで、SFでしか語られなかったような未来が現実になり始めた。「人間のような知能を持つコンピュータが2030年頃にも出現するかもしれない」(900号特集より)。

 中間点となる450号(1998年8月17日発行)の特集記事が今となっては示唆に富む。タイトルは「パソコン・サーバーの限界 分散から統合への動き」になる。