コストと納期、品質の3ポイントで、システム開発プロジェクトの成否を調査した、日経コンピュータによる2008年調査の結果を再掲する。
6回目は品質についての分析だ。要件定義とテストという二つの山が成功の前に立ちはだかる。
固有名詞、役職などは当時のままで掲載する。
最後は最も成功率の低い品質だ。品質の成功率は図1の通り。「計画通りに利用しており満足」の51.9%を成功とみなし、そのほかは失敗とする。失敗には「計画通り利用しているが不満足」という意見を含んでいる。
品質成功率の有効回答は212件と、納期や品質と比べると約半数に落ちた。これは「システムは現在開発中のため利用状況の評価はできない」と答えた226件を引いたためだ。
成功率は5年前と比較すると46.4%から5.5ポイント上昇した。コストの成功率が低下したことを考えると、「多少コストを追加しても、満足度を高めようとしているのかもしれない」(ガートナーの川辺主席アナリスト)。
規模別では5000万円以下の小規模のほうが満足度が高い結果になった(図2)。小規模では64.9%が満足だったが、中・大規模では5割程度に落ちる。企業規模の回答とクロス集計したため有効回答は195件となり、全体の成功率とは整合しないが傾向は見て取れるだろう。大規模案件のほうが要件が複雑になり、満足度も下がるといえる。