コストと納期、品質の3ポイントで、システム開発プロジェクトの成否を調査した、日経コンピュータによる2008年調査の結果を再掲する。

 4回目は予算超過についての分析になる。成功のカギは設計工程にある。

 固有名詞、役職などは当時のままで掲載する。


 5年前と比べて下がったとはいえ、最も成功率(順守率)が高いのはコストだ。ユーザー企業にとって予算は所与の条件。そうやすやすと変更できるものではないことが伺える。

 コストの順守に失敗した企業はどの程度まで超過を許しているのだろうか。それを示したのが図1だ。この図で「計画から2割未満の差」とあるのは、例えば1000万円のプロジェクトで1200万円までの範囲でコストを超過させてしまったことを示す。

図1●実際のコストと計画からのずれ<br>有効回答は393件。順守率と超過金額でクロス集計したため、有効回答数が438件から減った。その結果、全体のコスト成功率と割合は異なっている
図1●実際のコストと計画からのずれ
有効回答は393件。順守率と超過金額でクロス集計したため、有効回答数が438件から減った。その結果、全体のコスト成功率と割合は異なっている
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 この分析結果によると、コスト超過のほとんどは「5割未満」に収まっていることがわかる。コストが超過し、超過具合まで回答があった116件のうち、81.9%はこの範囲だ。

 次にプロジェクト規模別でみる(図2)。すると大規模な案件ほど「5割以上超過する」割合が増えることがわかった。5000万円未満の小規模案件では、5割以上超過する割合は13.9%にすぎなかったが、5億円以上の大規模案件では33.3%まで増える。金額が大きいので、影響も大きくなる。

図2●プロジェクト規模別のコスト超過具合<br>大規模になるほど5割以上超過する割合が増える。有効回答は114件
図2●プロジェクト規模別のコスト超過具合
大規模になるほど5割以上超過する割合が増える。有効回答は114件
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