著者:赤 俊哉(せき としや)
1964年生まれ。ソフトハウスでプログラマー、SEとして従事した後、サービス業の情報システム部門に転職。現在は全社の業務改革、データ経営の推進、データモデリングとプロセスモデリングなどに従事。現場の視点にこだわりつつ、上流工程におけるコミュニケーションのあり方を追求している。

どんづまりから見上げた空 ~ 我がITサバイバル年代記
目次
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「私はコボラー」、若者の希望を摘み取ってはいけない
2年弱続けてきたこの連載も、今回で最終回である。最終回は、今のIT業界について、思うところを書いていきたい。
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派遣SE時代にはまったく思わなかった、とても大事なこと
派遣SE・プログラマを経てユーザー企業に移り、さらにユーザー企業内でシステム部門から業務部門へと立場が変わった。その過程で様々な人たちに出会った。
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「そんなこと、できるわけないだろ!」、新業務フローを赤ペンでなぞり議論した話
「そんなこと、できるわけないだろ!」「そのやり方では間に合わないよ!」。新工場の建設に伴い、業務フローを変えようとした私に対し、現場から反論が続出した。私は彼らに赤ペンを渡し、机に広げた業務フロー図の線をなぞってもらい、理解を求めた。
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「稼働前に異動ですか?」、開発責任者と営業マンを4カ月兼務した話
システム開発の真っ最中に突然、営業部門へ異動になった。開発を放り出すわけにはいかず、昼は慣れない営業で汗を流し、夜は開発を続ける日々を4カ月間、続けた。情けない話だが夜遅くの打ち合わせで“落ちた”ことも何度かあった。
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「こんなもんいらん!どけろ!」、設置したPCを床に放り出された話
“声の大きい”管理職にPCを使ってもらおうと考えた。当人が不在の時にPCを机に設置し、翌朝、使い方を説明しようと管理職の席まで行った。なんとPCは無くなっていた。驚いて辺りを見ると、机の横の床に外されたPCが無造作に置いてあった。
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「廃棄しかないか」、せっかく作ったシステムを同志と作り直すと決めた話
ユーザー企業に転職し、システム部門のリーダーとなった私は、出来上がった全社システムの利用を進めるべく奮闘を続けた。だが、そのシステムは構造的な問題を抱えており、最終的には廃棄するしかない、と自ら決断せざるを得なかった。
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「責任感がないのか」、ユーザーに転職直後に覚えた違和感と“銀の弾丸”に出会った話
「責任感がないのか」。ユーザー企業に転職してシステム担当として初めてかかわったプロジェクトで感じたのは、上辺だけのやり取りでユーザーもベンダーも責任を果たそうとしない奇妙なほど滑稽な現場の姿だった。
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「この電話は使われていません」、親身になってくれた友人がIT業界の闇に消えた話
「この電話は現在使われておりません」。いたたまれない気分で転職活動を続けた時、親身になってくれた彼にかけた電話から聞こえた最後のメッセージはこうだった。
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「SEが足りなくなる!」、新聞記事に煽られて専門学校に通った話
「SEが×万人不足!」。普段は読みもしない新聞をぱらぱらめくっていたところ、こんな見出しが目に入った。記事を読むと、今後数年間でSEが大量に不足すると書いてあった。「×万人」という数字は覚えていないが、その記事が私の人生を変えた。
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「自分のような者でも居場所があるかも」、IT業界を目指しドロップアウトから脱した話
二度の大病を経て、目の前に広がっているはずの道がふっと無くなった。大学には行かず就職もしなかった。新宿をさまよい、ギャンブルをし、時々アルバイトをした。転がるようにしてたどりついた派遣のSEやプログラマーの世界で、冷徹な現実に直面した。
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「ぶちっと何かが切れた音を聞いた」、陰険上司に手を出さず足を出した話
ぶちっという音を確かに聞いた。拳を握りしめ、陰険な上司をにらみつけた。殴ってやる。もうどうなってもかまわない、そんな気持ちになった。それでも「人に手を出してはいけない」という最後の砦はなんとか守った。そのかわり、足を出した・・・。
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「頼む、死んでくれ」、二重の経歴詐称で地獄に行った派遣SEの話
「頼む、死んでくれ」。これが口癖の営業幹部がいた。私は彼に騙され、地獄のような現場に放り込まれた。人間関係は最悪で、私のキャリアにほとんど役に立たない仕事だった。「何とかしてほしい」と訴えたが、彼の答えは「頼む、死んでくれ」の一点張りだった。
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「もういいんだ、田舎に帰る」、キャリアプラン無き会社を辞めた話
最初の現場で一緒だった同僚から電話がかかってきた。「田舎に帰る」という。若いのに随分思い切った決断をするな、と思い、あれこれ聞いてみたが、「もういいんだ」の一点張りだった。入社以来、同じ現場に“塩漬け”にされて、うんざりしたらしかった。
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「電車に乗ろうとすると気持ちが悪くなるんだ」、現場に来られなくなった話
会社で一番の人材と言われた、我々の現場リーダーがある朝、出勤時間になっても姿を見せない。翌日になってようやく本人と連絡がとれた。自宅の最寄り駅から勤務地である現場に向かう電車に乗ろうとしたとき、気分が急に悪くなったという。
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「ふざけんじゃねえよ」、3次請けが2次請けに切れた話
「ふざけんじゃねえよ!」。その叫びを聞いた当時の光景を今でもはっきり思い出せる。格上の人の前では何も話せなかった同僚が突然、常駐先のマネージャーを怒鳴ったのである。彼の激高にはもっともな理由があった。
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「新人なのに経験者」、偽の職歴で売られた話
「君はちょっと年くってるから経験者としてやってもらう」。新入社員の研修を終え、初めて現場に出る直前、営業担当の先輩からこう申し渡された。職歴を詐称し、安い人件費の社員を高く売る。私が入ったソフトハウスはこういうやり方をしていた。
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「動くまで出るな」、冷凍マシン室に入れられた話
「寒い・・・」。冷え切ったマシン室で震えながら私はコンソールに向かっていた。いったん中に入ると、冷凍室のような場所で4、5時間ぶっ続けで作業をやらされ、手洗いに行くことすら許されなかった。ようやくマシン室を出て、血圧を測った私は仰天した。
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