2015年7月29日に提供が始まったWindows 10は、Windows 7/8.1 Updateのユーザーは無料でアップグレードできる。この11月には、初の大規模アップデートもあった。しばらく様子見していたものの、そろそろ使い始めようと思っている人も多いだろう。Windows 10を使い込んでいくうちに気になる点についてQ&A形式で解説する。

Windows 10で電力管理はどう変わった?

 Windows 8では、消費電力の低いアイドル状態を作り出すことが可能なCPUで、ネットワークデバイスなどの条件を満たしたPCでは「コネクテッドスタンバイ」を利用することができた。ただし、ハードウエアが条件を満たしていたとしても、コネクテッドスタンバイにするかどうかはPCメーカーの判断に任されている。このため、市場には、同等のスペックでもコネクテッドスタンバイになっている機種とそうでない機種がある。

 コネクテッドスタンバイでは、通常のスリープとは違い、画面は消すものの、CPUが持つ超低消費電力のアイドル状態を利用し、アイドル状態としておき、ネットワーク処理などのためにときどきCPUを動作させるようにしている。この超低消費電力のアイドル状態を「S0 LowPower Idle」とマイクロソフトでは呼んでいる。

 S0とはACPIが定めるシステムの電力状態(System Power State)で、いわゆる普通の起動状態を指す。つまり、S1(スタンバイ。CPUが止まる)、S3(スリープ。CPUは完全に止めるがメモリーに状態を保存)、S4(ハイバネーション。外部記憶にシステム状態を保存して電源を切る)などの停止状態には入らず、あくまでもハードウエアはS0にあり、Windowsがプロセスを基本的に停止させ、30秒に1回通信などの処理を行うために短時間だけCPUを動かす。

 これを進めたのがWindows 10に装備されているモダンスタンバイだ。モダンスタンバイは、コネクテッドスタンバイよりも稼働条件が少なく、SSDだけでなくHDDを使ったシステムにも適用できる。このモダンスタンバイには、「コネクテッド(Connected)モダンスタンバイ」と「ディスコネクテッド(Disconnected)モダンスタンバイ」の2つの種類があり、従来のコネクテッドスタンバイに相当するのが「コネクテッド・モダンスタンバイ」だ。

Windows 10を搭載したPCでは、「モダンスタンバイ」と「レガシースタンバイ」の2つがある。さらにモダンスタンバイは、「コネクテッド」と「ディスコネクテッド」に分かれている。図はマイクロソフトの資料を基に作成した
Windows 10を搭載したPCでは、「モダンスタンバイ」と「レガシースタンバイ」の2つがある。さらにモダンスタンバイは、「コネクテッド」と「ディスコネクテッド」に分かれている。図はマイクロソフトの資料を基に作成した
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 なお、コネクテッド・モダンスタンバイは、コネクテッドスタンバイを継承しているが、動作が改良されている。コネクテッドスタンバイでは、30秒に1回アクティブになっていたが、コネクテッドモダンスタンバイでは、必要がなければアクティブにならず、より長い間アイドル状態に留まるようになっている。