見えづらいネットワークの実態を定点観測で明らかにする。今回は格安SIM市場でシェア上位を占める、NTTコミュニケーションズ(NTTコム)、インターネットイニシアティブ(IIJ)のサービスを比較した。今回も2社のサービスの特徴的な挙動が見えてきた。

 今回、定点観測したのは、NTTコミュニケーションズ(NTTコム)の「OCNモバイルONE データ通信専用SIM」、インターネットイニシアティブ(IIJ)の「IIJmio データ通信専用SIM」の2サービス(表1)。両社は、MM総研の調べによると、独自サービス型SIM市場で上位2社を占める。いずれもユーザーの評判の高いサービスだ。

表1●格安SIM大手2社のサービスを定点観測
格安SIMサービスとして人気のNTTコミュニケーションズ「OCNモバイルONE」とインターネットイニシアティブ(IIJ)「IIJmio」のネットワークの挙動を調べた。
表1●格安SIM大手2社のサービスを定点観測
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 しかし、実際どの程度のパフォーマンスが出るのか利用してみないと分からないのがMVNOのサービスだ。そこでTCP最適化ソフトの開発企業であるJin-Magicの協力の下、上記2サービスを4月28日から5月10日にかけて調査した。

通信規制を考慮した転送間隔に

 NTTコムとIIJのサービスは、月間で利用できるデータ通信量ごとにいくつかのプランを用意している。定点観測によるパケット使用量を考慮し、いずれも5Gバイトのプランを選んだ。どちらも月額1500円前後の価格となる。最高速度はNTTコムが150Mビット/秒、IIJが225Mビット/秒としている。

 調査方法はこれまで同様に、透過的にTCP性能をモニタリングできるソフトをインストールした計測用端末と、Amazon Web Services(AWS)上に構築した計測用サーバーとの間で、2Mバイトのファイルを定期的に転送することで実施した。今回はIIJのサービスが、3日当たり366Mバイトを超えた場合、通信規制を適用するケースがある点を考慮し、25分間隔で転送した。

 両サービスともにネットワークはNTTドコモの回線を利用している。ネットワーク運用ポリシーの違いや帯域幅の違いが挙動の差となって現れると考えられる。今回も調査によって両サービスの特徴的な挙動が見えてきた。