ここは、ネットワーク関連企業「BPネットワークス」が誇る本社の超高層タワービル……の地下三階、機械室の隣にある第二R&Dセンターである。社内外から持ち込まれたネットワークに関する疑問を、さまざまな実験や調査を通じて解明する謎の部署だ。部員の1人の片岡さんが今日も頭を抱えている。
片岡:あー、ぜんぜん書けないやぁ。
堀部:無線LANのレポート、締め切りは明日の朝なんですよね。
片岡:そうなんだが…なにから手を付けたらよいのか…ダメポ…。
無断欠勤、遅刻が続いた片岡さんは、減給処分にされていた。しかし大石センター長の計らいで、レポートの提出で許してもらえることになった。ところがそのレポートが進んでいない。そんな第二R&Dセンターに、いつものように原さんがやってきた。
原:はーい、みなさん、こんにちは! 片岡さん、レポートの方はどう?
片岡:それが、ぜんぜん……。
原:そう…(そんなことだと思ったわ)。ではここで大石センター長からのお仕事。今回は二つよ。 ジャン!「無線LANのフレーム構造を調べた上で、無線LANのWEP暗号を解読せよ!」。
片岡:ん! 無線LANのフレーム?
吉田:前回はWEPキーが解読できることを試しましたが、無線LANのフレームがどうなっているかや、実際の暗号解読までは調査していなかったのですよね。
堀部:前にも、IEEE802.11の無線LANフレームは調べたことがあったけれどね。
原:そのときに、無線LANにはPLCPヘッダーがあるといったことを勉強したでしょ。
片岡:で、今回はもう少し無線LANのフレームについて調べてみて、それから暗号を解読するってわけか。