人と違って、ロボットは疲れを感じない。ロボットだけが働く工場を作れれば、24時間、週7日間フル稼働する、休み知らずの工場を構築できる。それに実際に挑んだのが工作機械大手のオークマだ。しかし現実は甘くなく、当初は思惑通りにはいかなかった。

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 「日本で作って世界で売る。そのためには生産性を極限まで高めた工場が必要だった」。オークマの領木正人専務取締役製造本部本部長兼FAシステム本部、情報システム部、社外生産部担当は、2013年11月に本格稼働した新工場「Dream Site 1」の狙いをこう説明する。

 オークマはDream Site 1で1日24時間、週7日間休みなく稼働し続ける“究極”の工場を目指した(図1)。ただし、人が働くと人件費がかさむ。そこで代わりにロボットに働いてもらうことにした。

図1●自動で1日24時間、週7日間働き続ける製造現場を実現
図1●自動で1日24時間、週7日間働き続ける製造現場を実現
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 工場内には幅3m、高さ6mもある大型の加工用装置をはじめ、約40台もの加工用装置が用意されている。素材となる鋳物の塊を投入すると、あらかじめスケジューリングされた生産計画に沿って加工用装置が自動で作業を進めてくれる。

 素材の投入や加工後の部品の取り出しは、走行ロボットがこなす。加工に不可欠な切削液の補給や、加工時に排出される切りくずの回収まで自動化。部品の加工工程については1日24時間、週7日間、ロボットが働き続ける製造現場を実現した。

夜間や週末の停止が課題だった

 Dream Site 1の加工工程で人がこなす作業といえば、ロボットが休みなく働き続けられるようにサポートすることだ。例えば、素材となる鋳物の塊は、「ステーション」と呼ぶスペースから走行ロボットが運び出す。ステーションへの素材の配置は、人の役目だ。

 また、加工用装置は工具の摩耗が進むと精度が下がる。そのため、加工用装置が自らの摩耗状態を監視し、自律的に新しい工具と交換している。この交換用の工具が不足しないように、人が補充しておく。