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個人データ活用ビジネス、勝負の始まり

第2回 大日本印刷が挑むCRMの進化形

大豆生田 崇志=日経コンピュータ 2015/11/10 ITpro

 前回は匿名加工の技術によって、本人同意が得られなくてもデータが活用できるビジネスを狙う企業を紹介した。これとは対照的に、あくまで本人の同意を得た上で個人データを流通させる仕組みの構築に乗り出した企業がある。大日本印刷である。

 大日本印刷は、その仕組みについて、企業が消費者のデータを分析するCRM(顧客関係管理)を進化させたものだとしている。企業はCRMを使って、顧客の属性や購買履歴、クレームなどを管理して適切に対応したり、一人ひとりに応じた商品やサービスを紹介する関係を構築している。顧客を「会員」としてデータ管理する手法が典型だ。

 大日本印刷は、CRMの精度や価値を高めるには「消費者が自分の購買履歴といった個人データを信頼できる複数の企業に託して、必要なサービスが受けられる関係を作る必要がある」とみる。従来のCRMでは企業が顧客を囲い込むだけ。そこから一歩進めて、企業が連携した上で消費者のニーズに応える仕組みが必要になるという(図1)。

図1●VRMはCRMの進化形
(出所:大日本印刷)
[画像のクリックで拡大表示]

 例えば、消費者が医療機関の健康診断の結果を基に生活改善のために商品を購入する場合を想定しよう。今まで、そうした商品を販売している会社は、自社が保有している購買履歴を基に優良顧客を見極めたり、広告・宣伝で購入した割合などを分析したりしてきた。もし消費者が自らの意思によって健康診断の情報を商品販売会社に提供して、必要な商品の購入に結びつけられれば、消費者のニーズは満たされやすくなる。

 こうした形でのデータ共有や連携は、消費者の意思が起点になる。共有/連携を進めるには、消費者が自分の様々なデータを保持しておけて、データを選んで企業に提供する手段が必要になる。こうした仕組みは、消費者が企業を管理する「VRM(ベンダー関係管理)」と呼ばれる。

匿名ではない正しい個人データで正しいビジネス

 大日本印刷は2012年からVRMの事業化の検討を始め、2015年9月に日本IBMや日本ユニシスと連携してVRM事業の運用に必要なシステムを開発したと発表した。このシステムを使って、サイブリッジが運営するVRMサイト「Kirei-Safety(キレイセーフティ)」の試行サービスを始めた(図2)。

図2●Kirei-Safety(キレイセーフティ)の概念図
(出所:大日本印刷)
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